ヤマトコンタクトサービス株式会社

ヤマト運輸をはじめとする様々な企業のコンタクトセンター業務を担うヤマトコンタクトサービス株式会社。
全国で約1,700名のオペレーターが活躍する同社では、基幹業務であるヤマト運輸の宅急便に関する問い合わせ対応(約1,200名)における応対品質の維持と、新人教育を担う講師の負担増大が課題となっていました。そこで「AIプラストーク」を導入し、対面で行っていたロールプレイング(ロープレ)研修をAIで実施できる環境を構築。研修期間の大幅な短縮と、オペレーターが自分のペースで反復練習できる体制を確立しました。今回は、導入の背景から具体的な活用方法、データから見えた成果と今後の展望について、宅急便CC部のお二人にお話を伺いました。
― まずは、お二人が所属されている部署の役割とミッションについて教えてください。
宅急便CC部は、全国15拠点にある自社のコールセンターの業務品質向上や生産性向上に向けた企画・運営を行っている部署です。私たちのメインミッションは、約1,200名いるオペレーターの応対品質の評価と向上に向けた取り組みです。サンプリングでのモニタリング評価を行い、全社で一定の品質基準をクリアし、お客さまのクレーム削減につなげることを目指しています。また、社内FAQの更新や、オペレーターから上がってくる「お客さまの声」の収集・展開なども行っています。
― AIプラストークを導入される前は、新人教育においてどのような課題を抱えていらっしゃいましたか。
従来は、新人が独り立ちするまでに約2週間(座学1週間、OJT1週間)の研修期間を設けていました。その中で、対面でのロールプレイング研修を行っていたのですが、受け入れ規模が大きい拠点では数百人規模の新人に対して、講師とオペレーターでペアを作って順番に実施していました。
1つの問い合わせテーマのロールプレイングを行うのに20分ほどかかるのですが、その間、他の参加者は練習ができず、無駄な待機時間が発生していました。また、講師を務める社員は通常業務と並行して研修対応を行う必要があり、負担が大きいという課題もありました。

― 様々なツールがある中で、「AIプラストーク」を選ばれた理由は何だったのでしょうか。
最も大きかったのは、「メールアドレスを持たなくてもIDが発行できる」という点です。コールセンターでは短期雇用のパート・派遣社員の方も多く、全員に社用メールアドレスを発行するとコストが膨らんでしまいます。他社のツールはメールアドレス必須のものが多かったため、この点は非常に魅力的でした。
また、アカウント数に依存しない課金体系(*)であったため、対象人数が増えてもコストを気にせず、全員にアカウントを付与して反復練習を促進できる点も大きな決め手になりました。 さらに、私たちの業務は案内ルールやスクリプトの変更が頻繁に生じるため、プロンプトでシナリオを簡単かつ柔軟に修正できるカスタマイズ性の高さも重要なポイントでした。また、導入にあたって手厚く伴走支援していただけた点も大変心強かったです。
(*)2026年3月時点の価格体系

― 実際にAIプラストークを導入されて、現場のオペレーターの方の反応はいかがですか。
一番多かったのは、「自分のロープレを周りに聞かれないので、安心して取り組める」という声です。コールセンター経験者として入社された方も多く、講師や先輩の前でロールプレイングを行うことにプレッシャーを感じることもあったようです。AI相手であれば失敗を恐れずに何度でも練習できるため、安心して学習に取り組める環境が整ったと感じています。
また、隙間時間を活用して自主的に練習できるようになった点も大きな利点です。
対人の研修だと時間を合わせる必要がありますが、AIプラストークであれば業務の隙間時間を利用して、自分のペースで何度も練習を重ねることができます。
さらに、フィードバックの内容も好評です。人と人だと関係性によって指摘を受け入れにくいこともありますが、AIは「ここが良かったですよ」とポジティブな点から説明してくれるため、オペレーターも前向きに「次も頑張ります」と取り組むことができています。

― 研修のスタイル自体にも大きな変化があったそうですね。
はい。AIプラストークの導入により、これまで2週間かかっていた研修期間を、3日間に短縮しました。座学の期間も1日半程度に減らしています。最初は不安もありましたが、発生頻度の低いニッチな問い合わせは後回しにして、まずは大半を占める基本的な問い合わせの型だけをAIプラストークで身につけるというスタイルに組み替えました。わからないことがあれば、整備した社内FAQ等でカバーする仕組みです。結果として、この思い切った組み替えは大きな手応えにつながっています。長年働いているベテランのパート社員からも好意的な反応があり、自発的に繰り返し練習へ取り組む姿が見られています。

― 新人オペレーターだけでなく、繁忙期の応援スタッフの教育にも活用されているとお聞きしました。
はい。コールセンターの繁忙期には、普段は総務や人事などのバックオフィス業務を担当している本社スタッフが応援として電話応対に入ることがあります。電話応対に不慣れなメンバーにとって、短期間で必要な知識や応対の流れを身につけることは大きな課題でした。
そこで、応援スタッフにも事前にAIプラストークでトレーニングを受けてもらいました。すべての業務知識を覚えてもらうのではなく、基本的な応対の流れと必要最低限の知識を習得し、詳細な情報は社内FAQで補完するという形です。その結果、応援スタッフも比較的スムーズに電話応対に入れるようになりました。
また、「事前の隙間時間を使って自主的に練習できるので助かる」といった声も寄せられています。
さらに、人事部門からは採用面談や社内面談のトレーニングへの活用案、営業部門からはアップセル提案のトークトレーニングへの活用案など、他部門からもさまざまなアイデアが上がっています。コールセンターでの活用をきっかけに、組織全体でAI活用の可能性を検討する動きが広がっています。
― 研修を終えてオペレーターが独り立ちした際、具体的な成果はどのような形で表れていますか。
まず、通話時間が劇的に短縮されました。以前は実務開始直後の応対件数が1時間あたり5件程度だったのに対し、AIプラストークで「会話の型」や「絶対に聞かなければならない必須情報」を徹底して身につけてからOJTに進むため、現場配置直後から1時間に平均8件、多い人では11件程度まで対応できるようになっています。これまでは電話口で焦ってしまい、伝票番号や住所の聞き忘れで、お客様に再架電するケースが多かったのですが、そうした聞き漏れによる再架電は大幅に減少しました。また、データ分析の結果からも、AIロープレで反復練習を多く行った人ほど、独り立ち後の生産性スコア(1時間あたりの処理件数)が高い傾向にあることがわかっています。

― 逆に、データから見えてきた新たな課題などはありますか。
通話時間は短縮された一方で、お客様との会話後にシステム(CRM)に入力する「後処理時間」や、保留の回数に課題があることが明確に見えてきました。特に、AIロープレの段階で「復唱ミス」や「確認漏れ」を指摘されていた方は、実際の電話でも情報が正確に聞き取れておらず、後処理の段階で迷いが生じて時間がかかってしまう傾向があります。「丁寧に話す」という土台はできたので、今後はより「正確に聞き取り、素早くシステムに入力する」スキルの強化が必要だと感じています。
― 最後に、今後のAIプラストークの活用について、どのような構想をお持ちですか。
やりたいことは大きく2つあります。1つ目は、より複雑でハードなペルソナを活用したトレーニングです。例えば、最初から感情的になっているお客様や社内ルール上どうしても対応できないご要望に対して納得していただけないお客様など、オペレーターが困ってしまうシチュエーションの練習です。経験がないと焦ってしまい、お客様の不満をさらに大きくしてしまうことがあるため、プレッシャーのかかる場面でも冷静に対応できるよう、AIを相手に実践力を高める場を作りたいと考えています。
2つ目は、「会話」と「システム操作(CRM登録)」を連動させたトレーニングです。現在は会話の型を覚えることに特化していますが、実際の業務ではお客様と話しながら、必要な情報をシステムに入力していく必要があります。会話は完璧でも登録を間違えてしまうと、集荷や配達の現場に正しい指示が伝わりません。そのため、AIプラストークの画面上で実際の登録フォームを模した入力も行い、「正しく聞き取り、正しく記録できたか」までを総合的に評価できるような仕組みに進化させていきたいと考えています。
USER PROFILE
本店所在地 | 〒170-0005 東京都豊島区南大塚3-33-1 JR大塚南口ビル8階 |
創業年月日 | 2003年9月1日 |
資本金 | 2,000万円 |
従業員数 | 1,700名 ※2026年3月時点 |
業務内容 | コンタクトセンター(コールセンター)業務 ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)業務 顧客関係管理(CRM)の構築及びコンサルティング業務 |
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